没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
それなのに――
「セレスティア」
名前を呼ばれ、はっと顔を上げる。
一瞬だけ、視線が重なる。
けれどその瞳には、何の感情も浮かんでいなかった。
ただの“聖女”を見る視線。
「……任務を遂行する」
短く、それだけを告げる。
それは命令でもなく、確認でもなく。
ただ事実を並べただけのような声音だった。
「……はい」
私もまた、同じように答えるしかなかった。
言葉は、それ以上続かない。
(……やっぱり)
もう、あの時の関係ではない。
花園での静かな時間も、わずかな優しさも。
すべて――過去のもの。
(それでも……)
目の前にいるのは、私が好きだった人。
そう思った瞬間、胸がわずかに痛む。
けれど、表には出さない。
今の私は、“聖女”なのだから。
そして彼は――“皇太子”として、ここにいる。
その現実だけが、はっきりと私の前にあった。
「セレスティア」
名前を呼ばれ、はっと顔を上げる。
一瞬だけ、視線が重なる。
けれどその瞳には、何の感情も浮かんでいなかった。
ただの“聖女”を見る視線。
「……任務を遂行する」
短く、それだけを告げる。
それは命令でもなく、確認でもなく。
ただ事実を並べただけのような声音だった。
「……はい」
私もまた、同じように答えるしかなかった。
言葉は、それ以上続かない。
(……やっぱり)
もう、あの時の関係ではない。
花園での静かな時間も、わずかな優しさも。
すべて――過去のもの。
(それでも……)
目の前にいるのは、私が好きだった人。
そう思った瞬間、胸がわずかに痛む。
けれど、表には出さない。
今の私は、“聖女”なのだから。
そして彼は――“皇太子”として、ここにいる。
その現実だけが、はっきりと私の前にあった。