没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
数日後、私たちは最初の浄化地に辿り着いた。

視界に広がった光景に、思わず息を呑む。

(……こんなに……)

地面は黒く濁り、草は枯れ、空気そのものが重く淀んでいる。

町で見た穢土とは比べものにならないほど、深く広がっていた。

「早速浄化できるか?」

隣で、アルセイド殿下が短く問う。

「……はい」

私は頷き、ゆっくりと前へ進む。

手をかざし、意識を集中させる。

(……大丈夫)

これまでもやってきた。できないはずがない。

光を流し込むと、黒く濁った穢れがじわじわと薄れていく。

重い感覚が体の奥に入り込んでくるけれど、それでも止めない。

やがて、一か所目の浄化が終わる。

「……次へ」

殿下の声に、私は息を整えながら頷く。

それからも、私は何度も手をかざし、穢土を浄化していった。

一つ、また一つと。
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