没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
朝の光が、テントの隙間からやわらかく差し込んでいた。

けれど――私は、まだアルセイド殿下の腕の中にいた。

(……あ……)

目を覚ました瞬間、その温もりに気づく。

しっかりと抱き寄せられたまま、逃がさないとでも言うように腕が回されている。

「……殿下」

そっと名前を呼ぶと、すぐに低い声が返ってきた。

「起きたか」

まだ少し掠れた声音。

けれど、その腕は緩まない。

「殿下、もう……これ以上は……」

わずかに身じろぎしながら言うと、すぐ耳元で囁かれる。

「……離さない」

その言葉に、胸が大きく跳ねる。

「ずっと抱いていたいんだ、セレスティア」

静かで、それでいて確かな熱を帯びた声。

(どうして……)

こんなにも、真っ直ぐに想いを向けてくるの。

視線を上げると、すぐ近くに殿下の瞳があった。
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