没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています

第5章 溺愛と喪失

それからの私は、常にアルセイド殿下のそばにいた。

朝、目を覚ませば、すぐ隣にいる。

夜、眠りにつく時も、腕の中。

(……こんなこと、あるの……?)

最初は戸惑いばかりだった。

けれど――それは、食事の時も同じだった。

「ここでいい」

そう言って、殿下は私を自分の隣に座らせる。

本来なら、聖女と皇太子。

もっと距離を保つべき立場なのに。

それでも殿下は、当然のように私の肩に手を回した。

「殿下……近すぎます……」

小さく言うと、すぐに返ってくる。

「問題ない」

あまりにも即答で、言葉を失う。

そのまま食事が始まっても、距離は変わらない。

むしろ――

「口を開けろ」

「え……?」

差し出されたスプーンに、一瞬戸惑う。

「冷める」
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