没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
けれど、モンテーロは引かなかった。

「しかし、セレスティアは聖女であって、皇太子妃ではありません」

その言葉に、胸が小さく揺れる。

(……そう、よね)

私は、もう――婚約者ではない。

ただの聖女。それだけの存在。

沈黙が落ちる。その間が、やけに長く感じられた。

やがて――

「……セレスティアを」

ぽつりと、殿下の声が落ちる。

「皇太子妃にしたい」

(……え……?)

息が、止まった。思わず木に手をつく。

信じられない言葉。

「無理だと思います」

即座に返される、モンテーロの冷静な判断。

「彼女の家は没落しています」

現実を突きつける声。

(……そう……)

分かっている。それが事実。

もう私は、あの頃の身分ではない。

けれど――

「元は公爵家だったんだ」
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