没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
殿下の声が、少しだけ強くなる。

「何とかする」

はっきりとした、決意。

(……どうして……)

胸の奥が、じんわりと熱くなる。

婚約は破棄された。突き放された。

それなのに――

(そんなこと、言わないで……)

期待してしまう。

叶うはずのない未来を。

木陰で、私はそっと目を伏せる。

知らないふりをしなければいけないのに。

それでも――胸の奥で、小さな光が灯ってしまった。
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