没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
「しかし、殿下はこのことを知っているのですか?」

私は首を横に振った。

「言わないでください」

「セレスティア様。それは……」

私は胸の前でグッと手を握った。

「終わりにしたくないんです」

そう言うと私は、テントの中から出た。

分かっている。

このままではいけないって。

「セレス?」

顔を上げると、そこにはアルセイド殿下が立っていた。

「どうした?何を泣いている?」

殿下が私の頬を伝う涙を拭いてくれた。

「いいえ。何でもないのです」

「そんな事はないだろう」

そう言うと殿下は、私をそっと抱きしめてくれた。

「もう俺達は他人ではないんだ。辛い事や悲しい事があったら、何でも言ってくれ」
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