没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
その一言で、すべてが露わになる。

(……やっぱり……)

分かっていた。気づかれてしまうと。

「……何だと」

アルセイド殿下の声が、鋭く響く。

「どういうことだ」

私の方へ、振り返る。

その視線は、驚きと――怒りを含んでいた。

「……セレスティア」

名前を呼ばれる。逃げ場は、もうなかった。

「……申し訳ありません」

小さく、そう答えることしかできない。

「どうして言わなかった」

低く、押し殺した声。

それは責めるというより――苦しんでいるように聞こえた。

(……だって……)

言えなかった。言ってしまえば――

「……言えば」

かすれた声で、言葉を紡ぐ。

「殿下と一緒にいられなくなると……思って……」
< 77 / 91 >

この作品をシェア

pagetop