没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
それでも――

「……はい」

小さく、けれどはっきりと頷く。

「喜んで」

その瞬間、殿下の手が私の手を取る。

強く、離さないとでも言うように。

そして――そっと、額に口づけが落とされた。

かつての別れの時とは違う。

これは――始まりの証。

花が風に揺れる中で。私は、ようやく。

この人の隣に立つことを、選んだ。

その日、王都は祝福に包まれていた。

空はどこまでも澄み渡り、柔らかな光が街全体を照らしている。

まるで、この日を祝うかのように。

「……セレスティア様、とてもお美しいです」

侍女の言葉に、私は鏡越しに小さく微笑んだ。

純白のドレス。繊細な刺繍と、光を受けて輝く布地。

そして――頭には、あのティアラ。

かつて聖女として授かったものとは違う。
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