恋愛百景
第6話「片思いの答え」
放課後の教室は、夕日だけが静かに差し込んでいた。机の影が長く伸びている。
数日間続いたぎこちなさが、まだ空気の中に残っている。
柚木は窓際に立っていた。亮太は教室の入口で足を止める。
「……なあ」
亮太の声で、柚木は振り向く。
少しだけ目が合って、すぐに逸れる。
「まだ怒ってるのか?」
柚木は一瞬だけ黙る。
「怒ってるとかじゃない」
亮太は少し困ったように眉を寄せる。
「じゃあ何なんだよ」
その言葉で、柚木の表情が少しだけ崩れた。
「亮太がさ」
静かな声。
「ずっと、分かってないままなのが嫌だった」
亮太は言葉に詰まる。
「何をだよ」
柚木は一歩だけ近づく。
「私の気持ち」
沈黙。
教室の空気が重くなる。
柚木は視線を逸らさずに続ける。
「ずっと一緒にいたのに、亮太の中では“ただのいつも通り”で終わってた」
亮太は何も言えない。
柚木の声が少しだけ震える。
「誰と帰ろうがどうでもいいみたいにされるのが、一番つらかった」
その言葉で、亮太の胸が少しだけ痛む。
柚木は一度だけ息を吐いて、まっすぐ亮太を見る。
「私、亮太のことが好き」
はっきりとした声だった。
もう逃げない言い方だった。
沈黙。
亮太はすぐに言葉が出なかった。
でも、目をそらさなかった。
柚木は少しだけ視線を落とす。
「……ごめん。今さらだよね」
そう言って背を向けようとした、その瞬間。
「待てよ」
亮太の声が止めた。
柚木の肩が少しだけ動く。
亮太はゆっくり言葉を探す。
「俺、ほんとに鈍かったと思う」
柚木は振り返らない。
亮太は一歩近づく。
「でもさ」
少し間。
「今、ちゃんと分かった」
柚木がゆっくり振り向く。
亮太はまっすぐ見ていた。
「俺も、お前のことが好きだ」
時間が止まる。
柚木の目が少しだけ揺れる。
「……ほんとに?」
亮太は小さく笑う。
「今さら気づいたけどな」
柚木は一瞬だけ黙って、それから小さく息を吐いた。
「遅い」
そう言いながら、少しだけ笑う。
その表情が、やっといつもの柚木に戻っていた。
亮太は少し頭をかく。
「悪い」
柚木はカバンを持ち直して言う。
「じゃあ、帰る?」
亮太は少しだけ間を置いてからうなずく。
「一緒に」
二人は並んで歩き出す。
夕焼けの帰り道は、さっきまでと同じはずなのに、少しだけ違って見えた。
——片思いは、ようやく終わり、名前を変えた。
放課後の教室は、夕日だけが静かに差し込んでいた。机の影が長く伸びている。
数日間続いたぎこちなさが、まだ空気の中に残っている。
柚木は窓際に立っていた。亮太は教室の入口で足を止める。
「……なあ」
亮太の声で、柚木は振り向く。
少しだけ目が合って、すぐに逸れる。
「まだ怒ってるのか?」
柚木は一瞬だけ黙る。
「怒ってるとかじゃない」
亮太は少し困ったように眉を寄せる。
「じゃあ何なんだよ」
その言葉で、柚木の表情が少しだけ崩れた。
「亮太がさ」
静かな声。
「ずっと、分かってないままなのが嫌だった」
亮太は言葉に詰まる。
「何をだよ」
柚木は一歩だけ近づく。
「私の気持ち」
沈黙。
教室の空気が重くなる。
柚木は視線を逸らさずに続ける。
「ずっと一緒にいたのに、亮太の中では“ただのいつも通り”で終わってた」
亮太は何も言えない。
柚木の声が少しだけ震える。
「誰と帰ろうがどうでもいいみたいにされるのが、一番つらかった」
その言葉で、亮太の胸が少しだけ痛む。
柚木は一度だけ息を吐いて、まっすぐ亮太を見る。
「私、亮太のことが好き」
はっきりとした声だった。
もう逃げない言い方だった。
沈黙。
亮太はすぐに言葉が出なかった。
でも、目をそらさなかった。
柚木は少しだけ視線を落とす。
「……ごめん。今さらだよね」
そう言って背を向けようとした、その瞬間。
「待てよ」
亮太の声が止めた。
柚木の肩が少しだけ動く。
亮太はゆっくり言葉を探す。
「俺、ほんとに鈍かったと思う」
柚木は振り返らない。
亮太は一歩近づく。
「でもさ」
少し間。
「今、ちゃんと分かった」
柚木がゆっくり振り向く。
亮太はまっすぐ見ていた。
「俺も、お前のことが好きだ」
時間が止まる。
柚木の目が少しだけ揺れる。
「……ほんとに?」
亮太は小さく笑う。
「今さら気づいたけどな」
柚木は一瞬だけ黙って、それから小さく息を吐いた。
「遅い」
そう言いながら、少しだけ笑う。
その表情が、やっといつもの柚木に戻っていた。
亮太は少し頭をかく。
「悪い」
柚木はカバンを持ち直して言う。
「じゃあ、帰る?」
亮太は少しだけ間を置いてからうなずく。
「一緒に」
二人は並んで歩き出す。
夕焼けの帰り道は、さっきまでと同じはずなのに、少しだけ違って見えた。
——片思いは、ようやく終わり、名前を変えた。