Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-


「世界が、均衡を保とうとして、お前を“異物”として排除しようとする。その反動で、世界自体が壊れ始めるんだ」


その一言で、理解してしまった。
私を襲う「何か」ではなく、この世界そのものが、私を拒んでいる。


「じゃあ……私のせい、で……蒼も、この世界も……」


蒼は何も答えない。
空間の歪みから、ゴォォォォという、呻きのような音が響き始める。

その沈黙が、残酷な答えだった。


「そんな……」


蒼は暫く黙っていたが、小さく、覚悟を決めたような息を吐いた。


「ここは、“お前の世界”じゃない」


「それは、分かってる……」


「正確に言えば────」



蒼の視線が、さらに大きく、黒く広がり始めた歪みへ向く。

歪みから滲み出る漆黒の霧が、周囲の草木を触れたそばから灰に変えていく。


「“交わらないはずの世界”だ。太古の昔に、完全に分断されたはずの……」


「交わらない……?」


「本来、完全に分断されてる」


淡々とした口調だけれど、理解し難い内容だった。


「でも今は、お前がいる」

「…………」

「……だから、歪む」



その言葉と同時に、


バリバリバリッ────!!!


空間が、悲鳴を上げた。



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