Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-
「……もういい。一人で探す。どこかに、出口くらいあるはずでしょ」
どうせ、夢だ。覚めるまでの辛抱……
「無理だ」
すぐに低い声が落ちて、足が止まる。
「お前一人じゃ、帰れない。……その前に、歪みに飲み込まれて、今度こそこの世界から“抹消”される」
「それでもいい! 何も分からずに怯えてるより、マシだよ!」
振り返って、睨みつけるように彼を見る。
……でも、本当は怖くてたまらない。
一人になるのが。彼がいなくなるのが。
もしかして、夢じゃなく、本当に“現実”なんじゃないかって……
「……紬」
「…………」
名前を呼ばれて、視線だけを彼に向ける。
視界が、涙でゆらゆらと滲んだ。
「泣いたって、“現実”は変わらないだろ」
突き放すような、静かな言葉。
でも、その手は微かに震え、自分の膝を強く握りしめていた。
“現実”って言葉に、絶望を感じざるを得なかった。
「……じゃあ、どうすればいいの? 帰れないなら、私……ここで、どうやって生きていけばいいの?」
一瞬、風が止まった。
蒼は何も言わない。
ただ、じっとこちらを見ている。
その沈黙が、今の二人の「手詰まり」を突きつけていた。
「……分かった。もう、いいよ」
小さく、諦めの息を吐く。
「帰れないなら、ここにいる。……蒼が迷惑だって言っても、消されるまで、ここにいるしかないもん」
「……は?」
蒼の眉が、わずかに動く。
死にそうな顔をしていたくせに、心底呆れたような、そんな表情。
「仕方ないじゃん……一人じゃどこにも行けないんだから」
「……バカか、お前は」
蒼は煮え切らない様子で、吐き捨てるように言った。
何かを言いかけて、苦しげに胸元を押さえる。
「……ダメだ。ここにいるなんて、認めるわけにはいかない」
「なんで?! 死ぬのが怖いから、蒼に守ってほしいって言ってるんじゃないよ!」
「そうじゃない……!」
蒼の声が、一瞬だけ熱を帯びた。
.
どうせ、夢だ。覚めるまでの辛抱……
「無理だ」
すぐに低い声が落ちて、足が止まる。
「お前一人じゃ、帰れない。……その前に、歪みに飲み込まれて、今度こそこの世界から“抹消”される」
「それでもいい! 何も分からずに怯えてるより、マシだよ!」
振り返って、睨みつけるように彼を見る。
……でも、本当は怖くてたまらない。
一人になるのが。彼がいなくなるのが。
もしかして、夢じゃなく、本当に“現実”なんじゃないかって……
「……紬」
「…………」
名前を呼ばれて、視線だけを彼に向ける。
視界が、涙でゆらゆらと滲んだ。
「泣いたって、“現実”は変わらないだろ」
突き放すような、静かな言葉。
でも、その手は微かに震え、自分の膝を強く握りしめていた。
“現実”って言葉に、絶望を感じざるを得なかった。
「……じゃあ、どうすればいいの? 帰れないなら、私……ここで、どうやって生きていけばいいの?」
一瞬、風が止まった。
蒼は何も言わない。
ただ、じっとこちらを見ている。
その沈黙が、今の二人の「手詰まり」を突きつけていた。
「……分かった。もう、いいよ」
小さく、諦めの息を吐く。
「帰れないなら、ここにいる。……蒼が迷惑だって言っても、消されるまで、ここにいるしかないもん」
「……は?」
蒼の眉が、わずかに動く。
死にそうな顔をしていたくせに、心底呆れたような、そんな表情。
「仕方ないじゃん……一人じゃどこにも行けないんだから」
「……バカか、お前は」
蒼は煮え切らない様子で、吐き捨てるように言った。
何かを言いかけて、苦しげに胸元を押さえる。
「……ダメだ。ここにいるなんて、認めるわけにはいかない」
「なんで?! 死ぬのが怖いから、蒼に守ってほしいって言ってるんじゃないよ!」
「そうじゃない……!」
蒼の声が、一瞬だけ熱を帯びた。
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