Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-
その横顔は、火の光を浴びて、彫刻のように美しく、そしてどこか寂しげだった。
「蒼は…ずっと一人でここにいたの?」
「…………」
沈黙。答えてくれないかと思ったその時、彼が小さく唇を動かした。
「……俺たちは、群れる必要がない。……必要がないはずなんだ」
その「はずなんだ」という言葉に、彼の微かな迷いが見えた気がした。
私は無意識に、毛布の上から自分の手を、彼の近くへと伸ばした。
「……私は、蒼がいてくれて良かったよ」
蒼の肩が、ピクッと跳ねる。
彼は信じられないものを見るような目で、私を凝視した。
「……お前、自分が消されかかった元凶が誰か分かって言ってるのか?」
「分かってる。でも、助けてくれたのも蒼でしょ」
まっすぐ彼を見つめると、蒼は気まずそうに視線を逸らした。
白い頬が、火の光のせいか、ほんの少しだけ赤く染まっているように見えた。
「……ちょっと外見回りしてくる」
彼はそう言って立ち上がり、部屋の隅へと歩いていく。
背を向けた彼の耳元が、髪の隙間から少しだけ熱を帯びているのを可愛いと思いながら、微笑ましく見送った。
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