Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-
彼の指は硬く、そして尋常ではないほど熱を帯びている。いや、違う。熱いのではない。
彼の体内から、凍りつくような『冷気』が溢れ出しているんだ。
「……お前が、…そこにいると、俺の感覚が狂う……」
蒼はそう呟くと、私の肩にぐったりと頭を預けた。
彼の吐息が首筋にかかる。いつもの花のような香りが、今はどこか甘い焦げた匂いを纏っている。
これは、彼が「番人」として世界を守るために、どれだけの力をすり減らしているかの証明だった。
「……紬……どうして……」
蒼は言葉を紡ごうとして、苦しげに唇を噛む。
普段の傲慢な毒舌はどこにもない。
そこには、ただ私の温もりを本能的に求めている、一人の不器用な男性の姿だけがあった。
「……どうして、……こんなに温かいんだ……」
彼は私の服の裾を、離さないようにぎゅっと握りしめる。
その無防備な仕草に、私の胸は締め付けられるほどに痛んだ。
このまま放っておけば、彼はこの冷気に飲み込まれてしまうかもしれない。
私は躊躇うことなく、暖炉の火のそばで、冷え切った彼の身体を抱きしめた。
「……私、ずっとここにいるから。……蒼が温かくなるまで、離さない」
蒼は信じられないものを見るように、ゆっくりと目を開けた。
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彼の体内から、凍りつくような『冷気』が溢れ出しているんだ。
「……お前が、…そこにいると、俺の感覚が狂う……」
蒼はそう呟くと、私の肩にぐったりと頭を預けた。
彼の吐息が首筋にかかる。いつもの花のような香りが、今はどこか甘い焦げた匂いを纏っている。
これは、彼が「番人」として世界を守るために、どれだけの力をすり減らしているかの証明だった。
「……紬……どうして……」
蒼は言葉を紡ごうとして、苦しげに唇を噛む。
普段の傲慢な毒舌はどこにもない。
そこには、ただ私の温もりを本能的に求めている、一人の不器用な男性の姿だけがあった。
「……どうして、……こんなに温かいんだ……」
彼は私の服の裾を、離さないようにぎゅっと握りしめる。
その無防備な仕草に、私の胸は締め付けられるほどに痛んだ。
このまま放っておけば、彼はこの冷気に飲み込まれてしまうかもしれない。
私は躊躇うことなく、暖炉の火のそばで、冷え切った彼の身体を抱きしめた。
「……私、ずっとここにいるから。……蒼が温かくなるまで、離さない」
蒼は信じられないものを見るように、ゆっくりと目を開けた。
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