Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-


「……っ」

涙が込み上げてくるのを、必死に堪える。


「……怖いか?」


蒼が私の顔を覗き込む。
私は首を横に振った。


「でも私、蒼を壊したいわけじゃない。…ただ、ずっとそばにいたいだけなの……」


それだけ、なのに。



私の言葉に、蒼は目を見開き、そして深く溜息をついた。
彼は私の額に、そっと自分の額を預ける。


世界が、崩壊する……────


そんなの…ありえない。


「……本当に、救いようのない馬鹿だな。…俺がどんな目に遭っても、離れないっていうのか?」


「……うん」



「……なら、俺も覚悟を決めるしかないな」




蒼はそう呟くと、初めて私の頬に、その冷たい唇を重ねた。



「お前を、俺の魂の半分にする」




それは愛のキスというよりは、番人としての契約にも似た熱い刻印だったのかもしれない……────




.
< 31 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop