Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-
彼は私の肩や腕にまで、自分の存在を刻みつけるように、執拗なまでにキスを落としていく。
その唇が通った場所すべてが、熱くて、ひりひりとした痺れに包まれていく。
彼は私の髪に顔を埋め、深呼吸するように何度も私の匂いを吸い込んだ。
まるで、私という存在を自分の肺に、自分の血液に、完全に溶かし込もうとしているみたいに。
私は彼の肩を抱きしめ、彼の背中に爪を立てた。
もう、ここから先には言葉なんて何もない。
ただ、互いの体温だけが、私たちが今、確かにここに生きているという唯一の証拠だった。
部屋の中には二人の荒い呼吸と、唇が重なる甘い音だけが溶け合っている。
蒼は、まるで私を飲み込んでしまいたいかのように、何度も、何度も唇を重ね、二人の世界を、甘い熱の渦の中へと沈めていった。
肌と肌が触れ合う場所から、彼の温もりがじんわりと伝わってきて、心臓の奥までが甘く溶けていくような感覚だ。
「……紬。疲れたか?」
蒼の声は、さっきまでの掠れた熱を帯びた響きとは違って、今はひどく柔らかい。
彼は私の髪をゆっくりとすくい、優しく耳にかける。その手つきが、番人とは思えないほど慈しみに満ちている。
「……ううん。すごく、幸せ」
私は嘘偽りのない本音を零し、彼の胸に手を置いた。
トクン、と一つ、彼が私を慈しむように心臓が跳ねる。
「そうか。…なら、良かった」
蒼はそう呟くと、私の身体をもう一度強く抱きしめ、自分の額を私の額に重ねた。
暗闇の中で、彼の水色の瞳がゆっくりと閉じられる。
その睫毛が私の頬をくすぐり、私はたまらなく愛おしくなって、彼の首筋を小さなキスで埋めた。
「…おやすみなさい」
「おやすみ」
彼は私の背中に腕を回し、まるで世界から私を守る結界を張るように、その身体で私を囲い込んだ。
彼が口づけを落とした首筋の刻印が、今は優しく、温かな光を放っている気がする。
彼の匂い、温もり、鼓動。
すべてが私を包み込んで、思考がゆっくりと霧の中に溶けていく。
ああ、なんて温かいんだろう。
たとえこれから、どんな過酷な現実が待っていようとも、今夜この瞬間の温もりがあれば、私は何度でも頑張れる。
そう、強く思った……────
.
その唇が通った場所すべてが、熱くて、ひりひりとした痺れに包まれていく。
彼は私の髪に顔を埋め、深呼吸するように何度も私の匂いを吸い込んだ。
まるで、私という存在を自分の肺に、自分の血液に、完全に溶かし込もうとしているみたいに。
私は彼の肩を抱きしめ、彼の背中に爪を立てた。
もう、ここから先には言葉なんて何もない。
ただ、互いの体温だけが、私たちが今、確かにここに生きているという唯一の証拠だった。
部屋の中には二人の荒い呼吸と、唇が重なる甘い音だけが溶け合っている。
蒼は、まるで私を飲み込んでしまいたいかのように、何度も、何度も唇を重ね、二人の世界を、甘い熱の渦の中へと沈めていった。
肌と肌が触れ合う場所から、彼の温もりがじんわりと伝わってきて、心臓の奥までが甘く溶けていくような感覚だ。
「……紬。疲れたか?」
蒼の声は、さっきまでの掠れた熱を帯びた響きとは違って、今はひどく柔らかい。
彼は私の髪をゆっくりとすくい、優しく耳にかける。その手つきが、番人とは思えないほど慈しみに満ちている。
「……ううん。すごく、幸せ」
私は嘘偽りのない本音を零し、彼の胸に手を置いた。
トクン、と一つ、彼が私を慈しむように心臓が跳ねる。
「そうか。…なら、良かった」
蒼はそう呟くと、私の身体をもう一度強く抱きしめ、自分の額を私の額に重ねた。
暗闇の中で、彼の水色の瞳がゆっくりと閉じられる。
その睫毛が私の頬をくすぐり、私はたまらなく愛おしくなって、彼の首筋を小さなキスで埋めた。
「…おやすみなさい」
「おやすみ」
彼は私の背中に腕を回し、まるで世界から私を守る結界を張るように、その身体で私を囲い込んだ。
彼が口づけを落とした首筋の刻印が、今は優しく、温かな光を放っている気がする。
彼の匂い、温もり、鼓動。
すべてが私を包み込んで、思考がゆっくりと霧の中に溶けていく。
ああ、なんて温かいんだろう。
たとえこれから、どんな過酷な現実が待っていようとも、今夜この瞬間の温もりがあれば、私は何度でも頑張れる。
そう、強く思った……────
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