Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-



「人間?!」

「おい、人間がいるぞ!」

「どこだ! どっちだ!」



ざわめきが、地鳴りのような怒号に変わる。
さっきまで普通の人間に見えていた街の人々の顔が、恐怖に歪んでいく。

……いや、違う。顔が、変わっていくのだ。

皮膚の下で何かが蠢き、目が異常に大きく光り出す者。
口が裂け、鋭い牙が覗く者。

爪が黒く伸び、アスファルトをガリガリと削る音。

皆、人間じゃないの……?



「キャッ」


ドンッ、と何かが蒼の肩を掠め、背後の石壁に深々と突き刺さった。


尖った石の礫だ。

もし、蒼が避けていなかったら、私の頭を貫通していただろう。


「動くな」


蒼の声が、私の鼓動を止めるほど冷たく響く。
彼の手が、ぐっと私の肩をおさえた。



「お前は、ここにいていい存在じゃない」



どういう事?!────



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