恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
家の中は久しぶりの明るさが戻っていた。
その中に祖母の姿があるだけで、こんなにも安心するものなのかと、幸子は改めて感じていた。

「ただいま、って言うのも久しぶりね。でもやっぱり、家が一番だわ」

そう言って、祖母は小さく笑う。

「……うん」

荷物を片付けながら、幸子も頷いた。
そのときだった。

「にゃあ」

小さな鳴き声がして、祖母がぱっと顔を上げる。

「あら……うわさの猫ちゃんね?」

部屋の奥から、子猫がちょこちょこと姿を現した。
まだぎこちない足取りで、それでも興味津々といった様子で祖母のほうへ近づいてくる。

「まあ、かわいい子ねえ」

しゃがみこんで手を差し出すと、子猫は一瞬だけ様子をうかがい、それから恐る恐る指先に鼻を寄せた。
そして、ごろごろと小さく喉を鳴らす。

「あらあら……懐っこいのね」

その様子に、祖母は嬉しそうに目を細めた。
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