恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
「ふふっ、先生と居ると楽しいです」

松澤はわずかに首を傾けた。

「そうか」

それだけ言って、視線は外さない。
逃げ場がなくて、困る。

頬が熱くなるのが、自分でもわかった。
たまらず、頬を両手で覆う。

「……はい」

すると、松澤の低い声が落ちてきた。

「さっきより、ずっと自然な顔してる」

その言葉に、心臓が跳ねた。

「え……?」

思わず顔を上げかけて、途中で止まる。
まっすぐ向けられる視線に気づいて、落ち着きを無くす。
逃げるように視線を泳がせると、すぐに声が重なった。

「いい意味でな」

そう言って、松澤は少しだけ視線を細める。

「その方が、好きだな」

あまりに真っ直ぐな言葉に、言葉が出てこない。

ほんの少しだけ視線を上げると、松澤が穏やかにこちらを見ていた。

その眼差しに、自然と息が抜ける。
幸子の中で張りつめていたものが、ゆっくりとほどけていく。

松澤がグラスに手を伸ばした、そのときだった。

「克樹?」
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