恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
その瞬間、松澤がその手を包み込むように取った。
逃げる間もなく、指先がすくい上げられ、ゆっくりと、薬指にリングが通される。
ぴたりと収まる感触に、息が止まる。
「……似合ってる」
低く落ちる声。
顔を上げると、すぐ近くに視線があった。
「……先生」
「もう、名前で呼んでくれ」
一瞬、意味が追いつかない。
「……え」
「俺の名前」
幸子は、ほんの少しだけ視線を揺らし、それから息を整えた。
そして、自分から距離を詰める。
「……克樹さん」
その瞬間、松澤の瞳がわずかに揺れた。
「もう一度、……ちゃんと」
逃げ道のない声音。
「……克樹さん」
今度は、迷わず言えた。
その瞬間、腕が引かれる。
気づいたときには、身体が引き寄せられていた。
強引ではない。
けれど、離れられない距離。
「……幸子」
耳元で落ちる声に、息がかかる。
二人の視線が絡む。
観覧車が、ちょうど頂点に差し掛かり、街の灯りが、すべて足元に広がる。
その中で、ゆっくりと距離が近づく。
唇が、重なった。
さっきまでとは違う。
確かめるだけでは終わらない、少し深いキス。
離れたあと、どちらもすぐには言葉を出せなかった。
呼吸だけが、近いまま残る。
指にあるリングの感触。
重なった手のぬくもり。
観覧車は、静かに動き続けていた。
逃げる間もなく、指先がすくい上げられ、ゆっくりと、薬指にリングが通される。
ぴたりと収まる感触に、息が止まる。
「……似合ってる」
低く落ちる声。
顔を上げると、すぐ近くに視線があった。
「……先生」
「もう、名前で呼んでくれ」
一瞬、意味が追いつかない。
「……え」
「俺の名前」
幸子は、ほんの少しだけ視線を揺らし、それから息を整えた。
そして、自分から距離を詰める。
「……克樹さん」
その瞬間、松澤の瞳がわずかに揺れた。
「もう一度、……ちゃんと」
逃げ道のない声音。
「……克樹さん」
今度は、迷わず言えた。
その瞬間、腕が引かれる。
気づいたときには、身体が引き寄せられていた。
強引ではない。
けれど、離れられない距離。
「……幸子」
耳元で落ちる声に、息がかかる。
二人の視線が絡む。
観覧車が、ちょうど頂点に差し掛かり、街の灯りが、すべて足元に広がる。
その中で、ゆっくりと距離が近づく。
唇が、重なった。
さっきまでとは違う。
確かめるだけでは終わらない、少し深いキス。
離れたあと、どちらもすぐには言葉を出せなかった。
呼吸だけが、近いまま残る。
指にあるリングの感触。
重なった手のぬくもり。
観覧車は、静かに動き続けていた。