恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
今日、新しいワンピースに袖を通した幸子は、松澤と並んで歩いていた。

「はー、緊張する」

実は、これから松澤の両親に会って、結婚の報告をする予定だ。
この日ために新調したワンピース。
この服でよかったのか、松澤の両親に不快感を与えないのか……。
つい、気にしてしまう。

「大丈夫だ。俺が隣にいる。それだけは変わらない」

耳元で低い声がするけど、緊張はとけない。

「はい……」

すると、ふいに松澤が囁く。

「その服……似合っている」

不意打ち。
幸子は、かぁっと頬が熱くなり、両手で頬を覆う。

「もう……」

松澤は、少し悪戯な瞳を向ける。

「顔色が良くなった」

そう言って、クスッと笑う。


約束の時間より、少しだけ早く店に着いた。

落ち着いた雰囲気のホテルラウンジ。
昼間とは違い、柔らかな照明と静かなざわめきが空間を包んでいる。

案内された席に腰を下ろしたとき、幸子は無意識に背筋を伸ばしていた。

「……大丈夫か」

隣で、松澤が低く声をかける。

「……はい」

幸子は、少し冷たくなった指先を握り込んだ。

「ごきげんよう」

落ち着いた女性の声が、静かに響く。
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