恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
「置いて行って……不安にさせた。悪かった」

耳元で松澤の声が響く。

「大丈夫です。ご両親も優しくしてくださいました」

胸の奥が、じんわり温かい。

「先生……、無理はしないでくださいね」

ようやくそう言うと、腕にかかる力が、ほんの少しだけ強くなる。

「それは無理だ」

即答だった。
けれど、その言葉に冷たさはなかった。

「ただ……戻る場所は、決めてある」

低く、静かに告げられる。

「……ここに」

その一言が、幸子の奥に深く沁みる。

逃げ場はないはずなのに、不思議と怖くない。
むしろ、その言葉に包まれているような安心感があった。
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