恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
幸子は言葉に詰まり、それから観念したように小さく笑った。

「……うん」

その返事だけで、十分だったらしい。

祖母は静かに頷き、それ以上は急かさなかった。
ミルクが、幸子の膝の上で丸くなる。
その背中を撫でながら、幸子はしばらく湯気を見つめていた。
胸の奥にある想いを、ゆっくり確かめるみたいに。

やがて、小さく息を吸う。

「……おばあちゃん」

呼びかける声に、自分でも少しだけ緊張が混じる。
祖母は静かに顔を上げた。

「私……先生にプロポーズされたの」

その瞬間、部屋の空気がほんの少しだけ変わった気がした。

けれど祖母は驚かなかった。
ただ、静かに幸子を見つめている。

「先生といるとね、不思議と怖くないの」

ぽつり、ぽつりと言葉が落ちていく。

「もちろん、不安がないわけじゃないし……これから変わることも、たくさんあると思う」
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