恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
病院では受付越しに対応するだけだったから、名札を見ればわかる。
でも今は私服だし、松澤も白衣ではない。

幸子は慌てて姿勢を正した。

「倉田です。倉田幸子と言います」

そう言って、ぺこりと頭を下げる。

松澤は一瞬だけ考えるような顔をしてから、静かに頷いた。

「倉田……幸子」

名前が、低い声で呼ばれる。
ただそれだけなのに、胸が小さく跳ねた。

「俺は松澤克樹」

「はい、存じてます」

思わず言ってしまってから、慌てる。

「あ……その、病院で有名なので……」

松澤は少しだけ口元を緩めた。

「そうか」

ふわりと微笑む松澤と視線が絡む。
その視線の先に、自分が居ると意識した幸子は、なんだか恥ずかしくなってしまい、ごまかすように子猫を見下ろす。

「じゃあ、この子の名前ですが、ミルクなんてどうですか?」
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