恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
「……あなた、本当に変わってるわね」

「え?」

「普通なら、好きにしていいって言われたら、花嫁さんの思い通りに式をするじゃない」

智代は、小さく笑う。

「なのに、自分から教えてくださいって来るなんて。私……克樹には、昔から煙たがられているのに」

その言葉は冗談めいていた。
けれど、その奥には少しだけ寂しさも混じっている。

幸子は、思わず目を丸くする。

「そんなことないと思います」

すると智代は、少しだけ眉を上げた。

「そうかしら?」

「はい」

幸子は迷わず頷く。

「克樹さんは、智代さんのこと、ちゃんと信頼してると思います」

その瞬間、智代が静かにこちらを見る。

「……どうしてそう思うの?」

幸子は少しだけ考えて、それから小さく笑った。

「本当に嫌だったら、“相談してみろ”なんて絶対言わないと思うんです」

実際には、かなり渋い顔をしていた。
“おすすめはしない”とも言っていた。
けれど、それでも止めなかった。

それはつまり、最終的には智代を信頼しているということだ。

その意味に気づいた瞬間、智代はふっと視線を落とす。
それから、小さく笑った。

「……あの子、そういうところ不器用なのよね」

その声は、母親の声だった。
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