恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
引っ越しまでの日々は、驚くほど慌ただしく、そして穏やかだった。
新居へ少しずつ荷物を運び込むたびに、幸子は松澤と暮らして行くのを実感した。
「ミルク、新しいお家に着いたよ」
そう言って、幸子はキャリーケース片手に、新居のリビングのドアを開ける。
すると、リビングの中央には、大きな段ボール。
引っ越しの荷物は、粗方片付いたはずなのに……。
「……これ、なんですか?」
幸子が首を傾げると、松澤は工具を手にしたまま答える。
「注文していた、キャットタワーが届いた」
「えっ」
思わず段ボールを見直す。
想像していたより、ずっと大きい。
「そんな大きなの、必要ですか?」
「必要だ」
松澤は説明書へ視線を落としたまま続ける。
「猫は上下運動が好きだからな。高低差がある遊びをさせないと運動不足になる」
「……詳しい」
「調べた」
子猫を迎え入れた当時を思い出し、幸子はクスッと笑う。
「さすが、猫のお父さんですね」
「なんだそれ」
「ミルクを拾ったときから、克樹さんは優しかったです」
「そうか」
「はい」
幸子は、ゆっくりと頷いた。
あの雨の日、弱り切った子猫をタオルで包み温めてくれた松澤。
それに、自分との生活だけじゃない。
子猫がここで暮らすことまで、最初から当たり前のように考えてくれていた。
その事実が、胸の奥をじんわりと温かくする。
新居へ少しずつ荷物を運び込むたびに、幸子は松澤と暮らして行くのを実感した。
「ミルク、新しいお家に着いたよ」
そう言って、幸子はキャリーケース片手に、新居のリビングのドアを開ける。
すると、リビングの中央には、大きな段ボール。
引っ越しの荷物は、粗方片付いたはずなのに……。
「……これ、なんですか?」
幸子が首を傾げると、松澤は工具を手にしたまま答える。
「注文していた、キャットタワーが届いた」
「えっ」
思わず段ボールを見直す。
想像していたより、ずっと大きい。
「そんな大きなの、必要ですか?」
「必要だ」
松澤は説明書へ視線を落としたまま続ける。
「猫は上下運動が好きだからな。高低差がある遊びをさせないと運動不足になる」
「……詳しい」
「調べた」
子猫を迎え入れた当時を思い出し、幸子はクスッと笑う。
「さすが、猫のお父さんですね」
「なんだそれ」
「ミルクを拾ったときから、克樹さんは優しかったです」
「そうか」
「はい」
幸子は、ゆっくりと頷いた。
あの雨の日、弱り切った子猫をタオルで包み温めてくれた松澤。
それに、自分との生活だけじゃない。
子猫がここで暮らすことまで、最初から当たり前のように考えてくれていた。
その事実が、胸の奥をじんわりと温かくする。