恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
松澤は、その声を確かめるように目を細めると、そっと幸子の頬に触れた。
指先がやさしく肌をなぞる。
それだけで、身体の奥まで甘く痺れるようだった。
「疲れてないか」
低い声が落ちる。
その問いかけが、ひどく松澤らしくて、幸子は思わず小さく笑ってしまう。
さっきまで張りつめていた緊張が、少しずつほどけていく。
その表情を見た松澤が、わずかに安堵したように息を吐いた。
「無理はさせない」
静かな声だった。
「だから、嫌なことがあったらちゃんと言え」
その言葉に、胸の奥がじんわりとあたたかくなる。
幸子は小さく頷いたあと、そっと松澤の服を掴む。
「……嫌じゃ、ないです」
消え入りそうな声。
「……私も……あ、愛してます」
けれど、それはちゃんと届いたらしい。
松澤の瞳が、ゆっくりと揺れる。
「ん……俺も、愛している」
その返事は、どこか掠れていた。
次の瞬間、そっと身体を引き寄せられる。
広い胸に触れた途端、心臓が大きく跳ねた。
耳元で、規則正しい鼓動が聞こえる。
自分と同じように、この人も緊張しているのだと気づいた瞬間、不思議と怖さが薄れていく。
「幸子」
低く、甘く名前を呼ばれる。