恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
「大丈夫よ」と言って、祖母は微笑む。

その笑顔に、幸子は肩の力を抜き、心を落ち着けようと深く息を吸い込んだ。
そのときだった。

コンコン、と扉がノックされる。

「失礼します」

低く、落ち着いた声がした。
その声を聞いた瞬間、幸子の心臓が大きく跳ねる。

扉が開き、白衣をまとった医師が、そこに立っていた。

「……松澤先生」

思わず名前を呼ぶと、松澤は軽く会釈をしながら部屋に入り、向かいの席に腰を下ろす。
その動作には無駄がなく、病院で見る医師としての姿そのものだった。

冷静で、的確で、揺るがない。

けれど幸子は、その奥にある静かな温度を、感じていた。

「これから説明させて頂きます」
< 44 / 111 >

この作品をシェア

pagetop