恋の雨が降るとき 〜クールな外科医は甘く囁く~
幸子はためらいを振り切り、ハンカチを取り出してそっと子猫を包んだ。濡れた毛の感触が、思った以上に冷たく感じ思わず息を呑む。
「こんなに冷たく……」
瞬間、子猫は弱々しく、温もりを求めるように幸子の指先に顔を寄せた。
そのしぐさに、胸がきゅっと締めつけられる。
松澤が険しい顔をする。
「このままじゃまずいな」
幸子は子猫を抱いたまま立ち上がった。
どうするべきかは、もう半分決まっている。けれど、口に出すには少し勇気がいった。
「松澤先生は……その、飼えたり、しませんよね」
聞きながら、無理だろうなと思っていた。
病院で噂になるくらい多忙な外科医だ。
案の定、松澤は短く息を吐いた。
「ホテル住まいだから無理だな」
「ですよね……」
やっぱり、と思う。
けれど、だからといってこの子をここに置いてはいけない。