思い出せない恋人より、忘れられない人がいる ――記憶喪失の秘書は冷徹社長に溺愛される
その日は、気づけばすっかり遅い時間になっていた。
オフィスにはもうほとんど人がいない。
静まり返った空間に、キーボードを打つ音だけが小さく響いていた。
「……終わりました」
書類をまとめて顔を上げると、社長はデスクに向かったまま、静かに頷いた。
「確認する」
そう言って立ち上がり、私の隣に来る。
自然な動きだった。
けれど、その距離の近さに、ほんの少しだけ意識が向く。
「……ここ、修正しておこう」
指先で示される箇所を、私は頷きながら見つめた。
真剣な横顔。
仕事の時は、無駄な表情が一切ない。
それなのに――
ふとした瞬間に見せる優しさが、どうしても気になってしまう。
「……ありがとう、ございます」
小さく言うと、社長は一瞬だけこちらを見た。
その視線が、妙に近く感じる。
オフィスにはもうほとんど人がいない。
静まり返った空間に、キーボードを打つ音だけが小さく響いていた。
「……終わりました」
書類をまとめて顔を上げると、社長はデスクに向かったまま、静かに頷いた。
「確認する」
そう言って立ち上がり、私の隣に来る。
自然な動きだった。
けれど、その距離の近さに、ほんの少しだけ意識が向く。
「……ここ、修正しておこう」
指先で示される箇所を、私は頷きながら見つめた。
真剣な横顔。
仕事の時は、無駄な表情が一切ない。
それなのに――
ふとした瞬間に見せる優しさが、どうしても気になってしまう。
「……ありがとう、ございます」
小さく言うと、社長は一瞬だけこちらを見た。
その視線が、妙に近く感じる。