思い出せない恋人より、忘れられない人がいる ――記憶喪失の秘書は冷徹社長に溺愛される

第6章 忘れられない人

店を出たあと、私たちは静かな夜道を並んで歩いていた。

さっきまでの出来事が、まだ頭の中で整理できない。

でも聞かなければいけないことが、あった。

「……社長」

足を止める。

社長も、ゆっくりと立ち止まった。

「教えてください」

真っ直ぐに、見上げる。

逃げずに、全部知りたい。

その覚悟を込めて。

新太は少しだけ目を閉じ、静かに息を吐いた。

そして――

「俺たちは、仕事のパートナーとして出会った」

ゆっくりと、語り始める。

「何でも言い合える仲間だったのは、確かだ」

低く落ち着いた声。

でも、その奥には確かな感情があった。

「……社長」

「いつしか」

言葉が続く。

「お互い、それ以上の想いを持つようになった」

あの時の、あの空気。

今なら、想像できる。

「そして、自然に付き合っていた」
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