思い出せない恋人より、忘れられない人がいる ――記憶喪失の秘書は冷徹社長に溺愛される
その言葉が、胸に深く落ちる。

――やっぱりそうだったんだ。

「……どうして」

震える声で、問いかける。

「どうして、言ってくれなかったんですか」

新太は、一瞬だけ視線を逸らした。

そして、苦しそうに言った。

「……言えない理由があった」

「理由?」

「千紗を、守るためだった」

「私を?」

意味が分からず、聞き返す。

守るって、何から?

新太は、ゆっくりと私を見つめた。

「俺たちは、三年一緒にいた」

その言葉に、胸が強く打つ。

「そして」

少しだけ、声が柔らかくなる。

「結婚の話もしていた」

――いつか、結婚しような、千紗。

――はい、新太さん。

ふいに、胸の奥が揺れる。

知らないはずの記憶。

でも、確かにそこにあった温もり。

言葉が出ない。

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