思い出せない恋人より、忘れられない人がいる ――記憶喪失の秘書は冷徹社長に溺愛される
「……社長だって、言ってないです」

胸に顔を埋めたまま、そう呟く。

すると、くすりと小さく笑う気配がした。

「分かるよ」

優しく、でも確信を持った声。

「千紗の好きな人は、俺しかいない」

その言葉に、胸がいっぱいになる。

否定なんて、できなかった。

もう、自分でも分かっている。

「何があっても変わらない」

少しだけ、抱きしめる力が強くなる。

「俺は、千紗を愛している」

まっすぐに、告げられる。

逃げ場のない、確かな想い。

「……私もです」

気づけば、素直に言えていた。

迷いも、躊躇いもなく。

「私も、新太さんを……愛してます」

名前を呼ぶと、胸の奥がじんわりと温かくなる。

私は腕を回して、彼をぎゅっと抱きしめた。

今度は、自分から。
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