思い出せない恋人より、忘れられない人がいる ――記憶喪失の秘書は冷徹社長に溺愛される
新太さんの家は、高層マンションの最上階にあった。

リビングへ入った瞬間、思わず息を呑む。

大きな窓の向こうに広がる夜景。

街の灯りが、まるで宝石のように輝いていた。

「……綺麗」

自然と、言葉がこぼれる。

その光景に見とれていると、背後からそっと腕が回された。

「気に入ったか」

低く優しい声。

振り返ると、新太さんが穏やかに微笑んでいる。

「はい……すごく」

胸の奥が、じんわりと満たされていく。

ここに、こうして一緒にいられることが、ただ嬉しかった。

「……千紗」

名前を呼ばれる。

その声に、少しだけ緊張が混じっていることに気づく。

「ちょっと、いいか」

そう言って、新太さんは私から少し距離を取った。

そしてゆっくりと、私の前で膝をついた。

「……え?」
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