思い出せない恋人より、忘れられない人がいる ――記憶喪失の秘書は冷徹社長に溺愛される
耳元で、低く囁かれる。

その言葉に、私は強く頷いた。

大きな窓の向こうで、夜景が静かに瞬いている。

あの光のように。

これからも、ずっと――

この想いは消えないと、信じられた。

シャワーを浴びた後、私たちは同じベッドに入った。

まだ少しだけ湿った髪。

柔らかな灯りの中で、新太さんの顔がすぐ近くにある。

その距離に、胸が静かに高鳴る。

「……記憶を失くした時ね」

ぽつりと、言葉をこぼす。

「とても大切なものを、失くした気がしたの」

新太さんが、じっと私を見つめる。

「大切なもの?」

その問いに、私はそっと手を伸ばした。

新太さんの手を取り、自分の頬へと当てる。

その温もりに、心がほどけていく。

「……あなたのことよ」

小さく、でもはっきりと伝えた。
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