夏に咲く花の香りは。

アサガオの日記

心の花に水を注いでいたら、夜更けに花咲くものもあったのだろうか。
いけない、学校に行かないと。
私の趣味は日記をつける事だ。アサガオの観察日記。
学校の休み時間。私は、大切に育てている「青色のアサガオ」を運んでいたら、後ろから声が聞こえた。
「まぁ、キレイなアサガオね。」と言ったのは、澄麗(すみれ)先輩だった。
彼女は常に完璧だった。成績、性格、顔立ち、全てが。
平凡で鈍臭い、私なんかとは釣り合わないんだ。
私は呟く様に、「だよね。」と言った。
すると彼女は、花を一輪つみ、私の頭に翳してこう言った。
「ゆぅちゃんによく似合っているわ。」
憂花「っ…!」
この人はなんと罪深く、意地悪な人なのだろう。
残念だが、私にはからかっているとしか思えなかった。
憂花「からかうなっ………」
ヤバい。思わず口に出してしまった。
「いやいや~。本当に可愛いから、つい。いけなかったかしら。」と言っていた彼女の顔は嘘をついてる様には見えなかった。
この私がっ…可愛い?どうにも信じ難い事だった。
憂花「…青色のアサガオの花言葉。知っていますか。」
「儚い恋。だったかしら。まるで私たちみたいじゃない…?」
知っていた上に、意味不明なことを言い出した。
憂花「どういう意味。」
「こういうことっ。」
彼女が急に、私の手を引いて、私の顔を近づけた。
憂花「やめろッ……」
徐々に顔と顔は近づいて、唇が触れ合いそうになってしまう。
「なーんて。冗談よ。これはただのお遊び。」
彼女は、ははっと笑って言った。
本気にしていた私が馬鹿みたいだった。
胸がズキズキするのは何故だろう。これはどういう感情…?
あれから一ヶ月が経った。学校に行ったら、聞きたくもなかった情報が、耳に流れ込んでくる。
「三年の澄麗先輩、人身事故で亡くなったんだろ。ヤバくないか。」
ぇ……何で置いて行くの。儚い一輪のアサガオは、綺麗に散ってしまったのだ。
青色のアサガオのもう一つの花言葉。それは「短い恋。」
私は永遠に忘れない。貴方が言ったあの言葉を。
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