完璧な上司に飼われてます! 〜ズボラ女子の居候日記〜【長編版】
エマリは喉を潤すように、ストローに口をつけた。それに合わせるように、俺もグラスを手に取る。
アイスティーが喉を通り、すとんと胃に落ちると……ひやりとした感覚が背筋を軽く伸ばした。
「……それで、律人はその子のことを、好きにならないようにしていたのね」
「いや……長いこと恋愛のスイッチを切っていたからな。好きとか、そういう感情自体、よくわからなくなっていた」
「ああ、なるほど。それで、どうしたらいいか相談しに来たってわけね」
石田はもう、俺の手を離れても問題ないところまで来ている。
家事も仕事も、一人で十分に回せるだろう。
自分で考え、責任を持って行動できる……そんな人間に成長した。
「石田は、もう卒業させてもいいくらいには成長している。このまま居候を続けても、あいつのためにはならない」
「でも、離れることを考えると胸が痛くなる……って感じ?」
「……まさしく」
視線を落とした俺を見て、エマリが小さく息を吐く。
その仕草だけで、次に来る言葉の強さがわかった。
「意気地なしね。気になるなら、告白すればいいじゃない」
「告白? そ、それは……」
「何で? 多分その子も、律人のことを良いって思ってるはずよ。じゃないと、ここまで一緒に住めないって」
「いや……でも、もし付き合うことになったとしても……またすぐ愛想を尽かされるんじゃないかって……」
「そんなの、付き合ってみなきゃわかんないじゃん。未来の失敗を今から確定させてどうすんの」
エマリの言葉は真っ直ぐで、容赦がなかった。
頭では理解できる。けれど、簡単に「そうだな」と飲み込める話じゃない。
俺のせいで……石田の人生を狂わせてしまう可能性だってある。
「想いを告げるっていうのは……なかなか難しいな」
エマリはスマホの時間を確認した後、カフェラテを最後まで飲み干した。
そして、はっきりと一言。
「負けると思えば負ける、勝つと思えば勝つ……でしょ?」
「……秀吉の言葉か」
「こういうのは気持ちの問題よ。強い気持ちを持っていたら、絶対上手くいくわ。自分の本能に従って、頑張って」
そう言って、エマリは立ち上がる。どうやら時間のようだ。
「すまんな、忙しい時に」
「ううん、こっちこそごめんね。進展あったら教えて」
エレガントな装いのエマリが、カフェを出ていった。
一人になり、頭の中を整理する。
石田と離れるこの寂しさは、恋というらしい。
俺が石田を好きになっていいものなのか……エマリの言葉が響いたとはいえ、まだ前向きに考えられない自分がいた。
「今日……話してみるか……」
今後のこと。そして、石田がどう思っているのか。
あのそっけない態度の正体に、向き合ってみよう。
帰社して残務を片づけ、定時で帰る。
そして……石田と夕飯を食べ、話をする。
これからのプランを頭に入れ、俺は仕事を一本終えてきたかのような表情を作り、デスクへと戻った。
アイスティーが喉を通り、すとんと胃に落ちると……ひやりとした感覚が背筋を軽く伸ばした。
「……それで、律人はその子のことを、好きにならないようにしていたのね」
「いや……長いこと恋愛のスイッチを切っていたからな。好きとか、そういう感情自体、よくわからなくなっていた」
「ああ、なるほど。それで、どうしたらいいか相談しに来たってわけね」
石田はもう、俺の手を離れても問題ないところまで来ている。
家事も仕事も、一人で十分に回せるだろう。
自分で考え、責任を持って行動できる……そんな人間に成長した。
「石田は、もう卒業させてもいいくらいには成長している。このまま居候を続けても、あいつのためにはならない」
「でも、離れることを考えると胸が痛くなる……って感じ?」
「……まさしく」
視線を落とした俺を見て、エマリが小さく息を吐く。
その仕草だけで、次に来る言葉の強さがわかった。
「意気地なしね。気になるなら、告白すればいいじゃない」
「告白? そ、それは……」
「何で? 多分その子も、律人のことを良いって思ってるはずよ。じゃないと、ここまで一緒に住めないって」
「いや……でも、もし付き合うことになったとしても……またすぐ愛想を尽かされるんじゃないかって……」
「そんなの、付き合ってみなきゃわかんないじゃん。未来の失敗を今から確定させてどうすんの」
エマリの言葉は真っ直ぐで、容赦がなかった。
頭では理解できる。けれど、簡単に「そうだな」と飲み込める話じゃない。
俺のせいで……石田の人生を狂わせてしまう可能性だってある。
「想いを告げるっていうのは……なかなか難しいな」
エマリはスマホの時間を確認した後、カフェラテを最後まで飲み干した。
そして、はっきりと一言。
「負けると思えば負ける、勝つと思えば勝つ……でしょ?」
「……秀吉の言葉か」
「こういうのは気持ちの問題よ。強い気持ちを持っていたら、絶対上手くいくわ。自分の本能に従って、頑張って」
そう言って、エマリは立ち上がる。どうやら時間のようだ。
「すまんな、忙しい時に」
「ううん、こっちこそごめんね。進展あったら教えて」
エレガントな装いのエマリが、カフェを出ていった。
一人になり、頭の中を整理する。
石田と離れるこの寂しさは、恋というらしい。
俺が石田を好きになっていいものなのか……エマリの言葉が響いたとはいえ、まだ前向きに考えられない自分がいた。
「今日……話してみるか……」
今後のこと。そして、石田がどう思っているのか。
あのそっけない態度の正体に、向き合ってみよう。
帰社して残務を片づけ、定時で帰る。
そして……石田と夕飯を食べ、話をする。
これからのプランを頭に入れ、俺は仕事を一本終えてきたかのような表情を作り、デスクへと戻った。