完璧な上司に飼われてます! 〜ズボラ女子の居候日記〜【長編版】
「石田、企画書の進捗はどうだ?」
到着して早々、石田に話しかけてみた。
石田は俺が席を外した時とほとんど変わらない姿勢で、パソコンの画面に向き合っていた。
「もうすぐ終わります」
「そ、そうか……」
相変わらず、そっけない態度だ。
これは絶対に、話し合わないといけないな……。
石田は俺に対してどんな感情を抱いているのか……はっきりさせる必要がある。
落ち着かない気持ちを、無理やり仕事へと向けた。
こんな状態でも不思議と指は動き、今書いている記事はどうにか形になった。
定時が、こんなにも待ち遠しいなんて……。
「橋場さん、少しお時間いいですか」
もう少しで定時になるという時に、ディナー班の安斎に声をかけられた。
安斎は俺と同い年で、どこか落ち着いた雰囲気を持つ爽やかな男だ。
「ああ……何だ?」
「いや、ここでは話しにくい内容で」
「じゃあ、会議室に移ろうか」
「……あの、橋場さん。今日、軽く一杯行きませんか?」
安斎が俺を飲みに誘うなんて、珍しい……いや、初めてのことだった。
よっぽど話したいことがあるのだろう。
「今夜か……」
今日は、石田と腹を割って話そうと決めた日。
できることならこのまま定時で帰って、ゆっくり時間を取りたかった。
でも……大切な部下の誘いとなると、簡単には断れない……。
「……わかった。付き合おう」
そう答えると、安斎は屈託のない笑みを浮かべた。
しょうがない……石田と向き合うのは、また今度にしよう。
とにかく今は、目の前の部下と向き合うことが第一優先だ……。
定時を迎える前に、石田に「安斎と飲みに行く」というメッセージを送る。
いつもなら短くても文章で返ってくるのに、今回はスタンプ一つだけだった。
寂しさが密かに、胸に広がる。
「すいません、橋場さん。急に誘ってしまって」
「いいんだ。安斎が俺を誘うなんて、珍しいからな」
「はは……ちょっと、話したいことがあって」
会社の近くにある創作居酒屋に入り、まずはビールで乾杯する。
ディナー班の安斎は、雰囲気のいい店をいくつも知っている……信頼できるやつだ。
きっとこの店も、間違いないはず。
「橋場さん、何か食べたいのあります?」
「安斎に任せるよ」
「了解です。任せてください」
丁寧な敬語を崩さない安斎のことを、俺は内心かなり評価している。
同い年の上司なんて本来ならやりにくいはずなのに、そんな素振りは一切見せない。
物腰も柔らかく、気配りもできる。それでいて容姿も整っているのだから……本当、非の打ちどころがない男だ。
他愛もない会話を交わしているうちに、注文したおばんざいが次々と運ばれてくる。
肉じゃがやだし巻き卵、小松菜と厚揚げの煮浸しなど……色とりどりの小鉢がテーブルに並んだ。
一品ずつ口に運び、舌鼓を打っていると……安斎は本題に移るかのように箸を置いた。
到着して早々、石田に話しかけてみた。
石田は俺が席を外した時とほとんど変わらない姿勢で、パソコンの画面に向き合っていた。
「もうすぐ終わります」
「そ、そうか……」
相変わらず、そっけない態度だ。
これは絶対に、話し合わないといけないな……。
石田は俺に対してどんな感情を抱いているのか……はっきりさせる必要がある。
落ち着かない気持ちを、無理やり仕事へと向けた。
こんな状態でも不思議と指は動き、今書いている記事はどうにか形になった。
定時が、こんなにも待ち遠しいなんて……。
「橋場さん、少しお時間いいですか」
もう少しで定時になるという時に、ディナー班の安斎に声をかけられた。
安斎は俺と同い年で、どこか落ち着いた雰囲気を持つ爽やかな男だ。
「ああ……何だ?」
「いや、ここでは話しにくい内容で」
「じゃあ、会議室に移ろうか」
「……あの、橋場さん。今日、軽く一杯行きませんか?」
安斎が俺を飲みに誘うなんて、珍しい……いや、初めてのことだった。
よっぽど話したいことがあるのだろう。
「今夜か……」
今日は、石田と腹を割って話そうと決めた日。
できることならこのまま定時で帰って、ゆっくり時間を取りたかった。
でも……大切な部下の誘いとなると、簡単には断れない……。
「……わかった。付き合おう」
そう答えると、安斎は屈託のない笑みを浮かべた。
しょうがない……石田と向き合うのは、また今度にしよう。
とにかく今は、目の前の部下と向き合うことが第一優先だ……。
定時を迎える前に、石田に「安斎と飲みに行く」というメッセージを送る。
いつもなら短くても文章で返ってくるのに、今回はスタンプ一つだけだった。
寂しさが密かに、胸に広がる。
「すいません、橋場さん。急に誘ってしまって」
「いいんだ。安斎が俺を誘うなんて、珍しいからな」
「はは……ちょっと、話したいことがあって」
会社の近くにある創作居酒屋に入り、まずはビールで乾杯する。
ディナー班の安斎は、雰囲気のいい店をいくつも知っている……信頼できるやつだ。
きっとこの店も、間違いないはず。
「橋場さん、何か食べたいのあります?」
「安斎に任せるよ」
「了解です。任せてください」
丁寧な敬語を崩さない安斎のことを、俺は内心かなり評価している。
同い年の上司なんて本来ならやりにくいはずなのに、そんな素振りは一切見せない。
物腰も柔らかく、気配りもできる。それでいて容姿も整っているのだから……本当、非の打ちどころがない男だ。
他愛もない会話を交わしているうちに、注文したおばんざいが次々と運ばれてくる。
肉じゃがやだし巻き卵、小松菜と厚揚げの煮浸しなど……色とりどりの小鉢がテーブルに並んだ。
一品ずつ口に運び、舌鼓を打っていると……安斎は本題に移るかのように箸を置いた。