完璧な上司に飼われてます! 〜ズボラ女子の居候日記〜【長編版】
――窓の外を眺めながら、光市と過ごしたあの日々を思い返していた。
時間はゆっくりと流れ、気づけば外は夕暮れ色に染まり始めている。
「花音……久しぶり」
かつて本気で好きだった人と、こうして再び向かい合う日が来るなんて。
光市は何故かスーツを着て、私の前に現れた。
場所はさっきまでいた喫茶店のすぐ近くにある、ファミレスだった。
久しぶりに会ったはずなのに、不思議とそこまでの空白を感じない……そんな感覚に包まれていた。
「どうしてスーツなの? 仕事帰り?」
「いや、気持ちを見せたくて」
久々の再会で交わす最初の会話がこれなんて、少し可笑しくなる。
光市は気を引き締めるような面持ちで、髪も綺麗にセンター分けに整えられていた。
まるで、仕事中みたいな格好だ。
「花音は、ドリンクバーだけ?」
「うん。お腹空いてないから」
「そっか。じゃあ俺も」
二人席に向かい合って座り、私はウーロン茶、光市はコーラを持ってくる。
光市は緊張しているのか、なかなか本題を切り出そうとしなかった。
飲み物を口にしては、「仕事は順調か?」とか「元気だったか?」とか……そんな当たり障りのない言葉を繰り返してくる。
近くの席に座っている子供たちがキャッキャと騒ぐのを横目に、光市は一つ咳払いをした。
「花音……俺、ずっと後悔してたんだ。どうして花音と別れてしまったんだろうって……ずっと自分を責めてた」
意を決したように、光市が本題を切り出す。
私も自然と背筋を伸ばし、いよいよ来たかと、その言葉を真正面から受け止める姿勢になった。
胸の奥に溜まっていた感情を吐き出すように、私も言葉を返す。
「嘘よ。だって光市、すぐに新しい彼女できたじゃない」
「……知ってたのか」
「うん。SNSで、見ちゃったの……」
光市は人差し指でつむじを掻きながら、険しい表情を浮かべる。
それから小さく息を吐き、申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめん。確かに、すぐ新しい彼女はできた。でも……結局別れたんだ。価値観が全然合わなくて」
「ええ?」
「花音と離れて、気づいたんだよ。花音の性格とか、一緒にいる時の居心地の良さとか……俺にはすごく合ってたんだって」
嘘偽りのない、本心を言ってくれているって……その真剣な表情でわかった。
だからこそ、私もちゃんと向き合わなきゃいけないと思えた。
「私、ショックだったんだよ?」
「そうだよな……」
「あれから自分を変えるために、必死に頑張った。ズボラな部分を直すために、意識して生活するようになって……」
「ご、ごめん……」
光市のせいで……と言いかけて、その言葉は飲み込んだ。
よく考えたら、今の生活に悲観するようなところは一つもない。
今が落ちぶれた生活みたいに聞こえる言い方は、するべきじゃないと思った。
時間はゆっくりと流れ、気づけば外は夕暮れ色に染まり始めている。
「花音……久しぶり」
かつて本気で好きだった人と、こうして再び向かい合う日が来るなんて。
光市は何故かスーツを着て、私の前に現れた。
場所はさっきまでいた喫茶店のすぐ近くにある、ファミレスだった。
久しぶりに会ったはずなのに、不思議とそこまでの空白を感じない……そんな感覚に包まれていた。
「どうしてスーツなの? 仕事帰り?」
「いや、気持ちを見せたくて」
久々の再会で交わす最初の会話がこれなんて、少し可笑しくなる。
光市は気を引き締めるような面持ちで、髪も綺麗にセンター分けに整えられていた。
まるで、仕事中みたいな格好だ。
「花音は、ドリンクバーだけ?」
「うん。お腹空いてないから」
「そっか。じゃあ俺も」
二人席に向かい合って座り、私はウーロン茶、光市はコーラを持ってくる。
光市は緊張しているのか、なかなか本題を切り出そうとしなかった。
飲み物を口にしては、「仕事は順調か?」とか「元気だったか?」とか……そんな当たり障りのない言葉を繰り返してくる。
近くの席に座っている子供たちがキャッキャと騒ぐのを横目に、光市は一つ咳払いをした。
「花音……俺、ずっと後悔してたんだ。どうして花音と別れてしまったんだろうって……ずっと自分を責めてた」
意を決したように、光市が本題を切り出す。
私も自然と背筋を伸ばし、いよいよ来たかと、その言葉を真正面から受け止める姿勢になった。
胸の奥に溜まっていた感情を吐き出すように、私も言葉を返す。
「嘘よ。だって光市、すぐに新しい彼女できたじゃない」
「……知ってたのか」
「うん。SNSで、見ちゃったの……」
光市は人差し指でつむじを掻きながら、険しい表情を浮かべる。
それから小さく息を吐き、申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめん。確かに、すぐ新しい彼女はできた。でも……結局別れたんだ。価値観が全然合わなくて」
「ええ?」
「花音と離れて、気づいたんだよ。花音の性格とか、一緒にいる時の居心地の良さとか……俺にはすごく合ってたんだって」
嘘偽りのない、本心を言ってくれているって……その真剣な表情でわかった。
だからこそ、私もちゃんと向き合わなきゃいけないと思えた。
「私、ショックだったんだよ?」
「そうだよな……」
「あれから自分を変えるために、必死に頑張った。ズボラな部分を直すために、意識して生活するようになって……」
「ご、ごめん……」
光市のせいで……と言いかけて、その言葉は飲み込んだ。
よく考えたら、今の生活に悲観するようなところは一つもない。
今が落ちぶれた生活みたいに聞こえる言い方は、するべきじゃないと思った。