完璧な上司に飼われてます! 〜ズボラ女子の居候日記〜【長編版】
――ようやくだ。ようやく……心も体も重ねることができた……。
時間を忘れて、律人さんの体温を感じる。
整った顔立ちが少しずつ崩れていく様子が、愛おしくて堪らなかった。
額に滲む汗が、妙に男らしく見える。
「花音、愛してるよ」
「私も、律人さん……」
最後は息もつけないほど強く抱きしめられ、ほとんど同時に果てた。
目が合い、どちらともなく笑みをこぼす。
二人並んで大きなベッドに仰向けになり、荒い呼吸を整えながら天井を見上げた。
私は胸に込み上がるこの想いを、そのまま言葉にする。
「律人さん……」
「何だ?」
「これからも、よろしくお願いします」
律人さんは天井から私へと視線を移し、大きな手で乱れた髪をゆっくりと撫でてくれた。
その仕草に誘われるように、私は律人さんの胸元へ体を寄せる。
「花音に、聞いてほしいことがある」
「何ですか?」
「俺はな……人のペースを平気で狂わせる人間だ。細かいルールを押しつけて、相手を疲れさせてしまう」
「わかってますから。説明不要です」
私が即答すると、律人さんは苦笑した。
慌ててフォローするように、「もう慣れてますよ」と付け加える。
「そうか。いや……だからな。もし嫌な思いをしたら、はっきり言ってほしいんだ」
「え?」
「今までの俺は……人に譲ることができなかった。それほど、他人に厳しい性格だった」
「律人さん……」
「……俺も変わろうと思う。俺のペースを押しつけるのは、もうやめだ」
思いもよらない言葉に、私は思わず律人さんの顔を見上げた。
律人さんは天井に視線を戻し、凛とした表情で話している。
「どうして、そう思ったんですか?」
私がそう尋ねると、律人さんは少しだけ目を細めた。
「俺がこういう性格になったのは、母親の影響だ。あいつみたいなだらしない人間になってほしくなくて……付き合った相手にも、無意識のうちに完璧を求めてしまっていた」
「……そう、らしいですね」
「でも……花音は、そんな俺から逃げなかった。最後まで、ちゃんとついてきてくれた」
律人さんはそこで、一度言葉を切る。
ほんの少しの間を開けてから、律人さんは落ち着いた声で続けた。
「花音のおかげで、気づけたんだ」
「気づけた?」
「ああ。花音は、母親とは全然違う人間だ。俺はずっと、母親の幻影に囚われていただけだった」
その一言には、長年抱えてきた重荷を下ろしたような響きがあった。
その言葉の重みが、十分に伝わってくる。
「だから……また俺の細かすぎるところが出たら、遠慮なく指摘してほしい」
私は返事をせず、じっと律人さんの目を見つめた。
反応がないことを不思議に思ったのか、律人さんがこちらを覗き込む。
「花音、どうした?」
「私は、律人さんがこれまで付き合ってきた女性とは違いますよ。どんなに厳しい律人さんでも、私はちゃんとついていきます」
律人さんは予想していなかった返答だったのか、しばらく目を丸くしたまま固まっていた。
私の言葉を噛みしめるように沈黙した後……律人さんはゆっくりと腕を伸ばし、私を抱きしめてくれた。
時間を忘れて、律人さんの体温を感じる。
整った顔立ちが少しずつ崩れていく様子が、愛おしくて堪らなかった。
額に滲む汗が、妙に男らしく見える。
「花音、愛してるよ」
「私も、律人さん……」
最後は息もつけないほど強く抱きしめられ、ほとんど同時に果てた。
目が合い、どちらともなく笑みをこぼす。
二人並んで大きなベッドに仰向けになり、荒い呼吸を整えながら天井を見上げた。
私は胸に込み上がるこの想いを、そのまま言葉にする。
「律人さん……」
「何だ?」
「これからも、よろしくお願いします」
律人さんは天井から私へと視線を移し、大きな手で乱れた髪をゆっくりと撫でてくれた。
その仕草に誘われるように、私は律人さんの胸元へ体を寄せる。
「花音に、聞いてほしいことがある」
「何ですか?」
「俺はな……人のペースを平気で狂わせる人間だ。細かいルールを押しつけて、相手を疲れさせてしまう」
「わかってますから。説明不要です」
私が即答すると、律人さんは苦笑した。
慌ててフォローするように、「もう慣れてますよ」と付け加える。
「そうか。いや……だからな。もし嫌な思いをしたら、はっきり言ってほしいんだ」
「え?」
「今までの俺は……人に譲ることができなかった。それほど、他人に厳しい性格だった」
「律人さん……」
「……俺も変わろうと思う。俺のペースを押しつけるのは、もうやめだ」
思いもよらない言葉に、私は思わず律人さんの顔を見上げた。
律人さんは天井に視線を戻し、凛とした表情で話している。
「どうして、そう思ったんですか?」
私がそう尋ねると、律人さんは少しだけ目を細めた。
「俺がこういう性格になったのは、母親の影響だ。あいつみたいなだらしない人間になってほしくなくて……付き合った相手にも、無意識のうちに完璧を求めてしまっていた」
「……そう、らしいですね」
「でも……花音は、そんな俺から逃げなかった。最後まで、ちゃんとついてきてくれた」
律人さんはそこで、一度言葉を切る。
ほんの少しの間を開けてから、律人さんは落ち着いた声で続けた。
「花音のおかげで、気づけたんだ」
「気づけた?」
「ああ。花音は、母親とは全然違う人間だ。俺はずっと、母親の幻影に囚われていただけだった」
その一言には、長年抱えてきた重荷を下ろしたような響きがあった。
その言葉の重みが、十分に伝わってくる。
「だから……また俺の細かすぎるところが出たら、遠慮なく指摘してほしい」
私は返事をせず、じっと律人さんの目を見つめた。
反応がないことを不思議に思ったのか、律人さんがこちらを覗き込む。
「花音、どうした?」
「私は、律人さんがこれまで付き合ってきた女性とは違いますよ。どんなに厳しい律人さんでも、私はちゃんとついていきます」
律人さんは予想していなかった返答だったのか、しばらく目を丸くしたまま固まっていた。
私の言葉を噛みしめるように沈黙した後……律人さんはゆっくりと腕を伸ばし、私を抱きしめてくれた。