スパダリ救急医はシンデレラと双子ベビーに深愛を注ぐ
 布一枚の隔たりさえも、もどかしい。口づけを交わしながら、なにかに急き立てられるように互いの衣服を脱がせ合う。
 奏真の引き締まった腹筋を指先でなぞると、彼が「――っ」と低いうめき声をあげた。
 自身の下腹部で、奏真の昂りを直に感じる。彼に求められている。それがたまらなく嬉しくて、涙があふれそうになった。

「……こういう場面で『愛してる』と言うのは、ドラマや映画に影響されすぎじゃないかと思ってたけど」

 奏真はそこで言葉を切り、クシャリとした笑みを浮かべた。

「なるほど。言わずにはいられなくなるんだな」

 彼の唇が頬に落ちる。そのまま輪郭をなぞるようにすべって、光莉の耳元で止まる。

「愛してるよ、光莉。――愛してる」

 吐息交じりに吐き出される彼の思いが、光莉の全身をうち震わせた。

「うん、私も。麻海くんが……大好き」

 今日、光莉は彼にいくつかの嘘をついた。だけど、今の言葉は嘘じゃない。
 全身全霊で彼を愛している。これが生涯ただひとつの恋だと神さまに誓える。
 だから、どうか――。

(永遠に醒めないで、なんて贅沢は言わない。せめて今夜だけは……)

 奏真はゆっくりと光莉のなかに腰を沈めた。そのまましばらく動かない。
 ふたりとも、愛する人とひとつになった余韻に浸っていた。それからゆっくりと彼は腰を引く。焦らすように浅く揺すり、もう一度奥深くまで――。
 静かで優しい、彼とふたりきりの世界。光莉の心は圧倒的な幸福に満たされていた。
 彼は知らない、光莉だけが知っている。
 この夜はふたりにとって初めてで、そして最後の夜になる。
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