総長は、私にだけ甘すぎる。
路地の奥には、数人の男たちが倒れているのが見えた。

その中心に――

ひとりの男が立っていた。

黒いコート。

無駄のない立ち姿。

ただそこにいるだけで、空気が張り詰めるような存在感。

――あれが、黒龍。

黒龍総長。

その男が、ゆっくりとこちらを向いた。

「……誰だ」

低い声。

それだけで心臓が跳ねる。
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