推しの妻になりました〜アイドルと契約結婚〜
第26話 オフライン①

今日は、奇跡的に二人とも休みが重なった、初めての「完全オフ」の日。
「……あー、よく寝た。おい、いちご。朝メシ、まだか?」
リビングに現れたのは、髪をセットしていない、ボサボサ頭のTOMA。
アイドルではない、家の中でしか見せない「素」の姿に、苺依の心臓が朝から跳ねる。
「もう10時ですよ。今、フレンチトースト焼いてますから」
「……フレンチトースト? ったく、朝からオシャレなもん食わせるなよ」
文句を言いながらも、TOMAは苺依の後ろに立ち、肩越しにフライパンの中を覗き込む。
「……いい匂い」
TOMAが耳元でそう呟き、苺依の肩にポスンと顎を乗せた。
「!? TOMAさん、近いです……!」
(前も思ったけど、寝起き距離近すぎない?)
TOMAのプライベートな部分を知るのは嬉しいが、この距離は求めてない。
「……あんた、いい匂いすんな」
苺依の焦りを楽しむように、TOMAはわざと首筋に鼻を寄せる。
「……いちご。今日は一歩も外に出ないって決めたから……いいよな?」
「え、私もですか?」
「当然だ。嫌なのか?」
「嫌……じゃないですけど、たまには一人でゆっくりされてはどうかと……?」
TOMAの顔色は見えないが、無言の圧は伝わってくる。
なんとか意識しないよう、フレンチトーストを睨み続ける苺依。
すると……
「一人?」
すっと腰から両腕を回され、後ろから優しく抱きすくめられる。
「え、あの、TOMA……さん?」
「いちごは一人がいいのか?」
「いえ、決してそのようなことは……」
テンパって口調が仕事モードになる。
後ろから感じるTOMAのほどよい体温と、首にかかる息がくすぐったい。
「なら、俺と一緒に過ごせ。観たい映画があるんだ」
「映画?」
――To be continued