恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 私が知った時には彼女はすでに彼とお付き合いをしていた。
 止めようと思った時もあるが、あまりにも幸せそうな顔で惚気る彼女を見ていたら、止めることは出来なかった。

 それに、彼女自身も彼との関係はそういうものだと割り切っている。
 彼女いわく、『それでも好きになってしまったのだから仕方ない』そうだ。

「ごめん、無神経だった」

 そう言うも、彼女の笑みは明るくならない。
 私は空気を一変したくて、わざとおどけて言った。

「おばあちゃんには、まだまだ長生きしてもらわないと!」

 それから、従業員通路の扉に手をかけた。
 この扉から出ると、ちょうど調剤カウンター近くの通路に出られる。

 だが扉を開けた瞬間、ちょっとした人だかりが目に入り、私はすぐさま駆けだした。
 あそこは、調剤カウンターの前辺りだ。

 急患かもしれない。
 私は使命感を胸に、人だかりを縫って騒ぎの中心へ向かう。

 しかしその先頭まで来て、足が止まってしまった。
 心臓が不規則なリズムを刻み始め、頭から血の気が引いてゆく。

 祖母が倒れていたのだ。

「もしもし! 大丈夫ですか!?」

 祖母の耳元に向かって声をかけるのは、私と同じフライトスーツに身を包んだ彼――宇田川先生だ。

 彼の足元には、ビニール袋が転がっている。中には潰れたコンビニのおにぎりがふたつ見えた。

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