恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
「私、当番代わります!」

 私は手を上げそう叫んだ。こんな時に、私が行かなくてどうする。

 だが、横居さんはこちらをみてぎょっとする。管野さんも横居さんに支えられながら、目を丸くした。

「戻ってきたばかりで、行ける?」

「大丈夫です。やらせてください」

 私は横居さんに強く頷いた。むしろ、私がやらないといけないと思った。

 多くの人の命を守るために、フライトナースになった。皆の優しさに甘えて、初心を忘れてはいけない。

 それに、今日のフライトドクターは龍臣さんだ。
 だから、きっと大丈夫。

 私はポケットに忍ばせた祖母のお守りを、きゅっと握り締める。

「守山さん、お願い」

 横居さんがそう言うと同時に、私はナースステーションから駆けだした。

 急いでフライトスーツに着替え、フライト待機室へ。
 龍臣さんはパソコンの前で医学書を読み、ソファでは整備士とパイロット、運行管理者の丸井さんが談笑をしていた。

「本日のフライトナース、守山に変更しました」

 すると、丸井さんがすかさず言う。

「新婚コンビだ! めでたいねえ」

「少しだけ軽くなった。運べる患者の重量、ちょっとだけ増えるな」

 整備士がそう言って、ソファの三人が笑った。
 そんな和んだ空気に、私もくすりと笑みがこぼれる。

 しかし龍臣さんと目が合うと、つい胸が跳ねてしまう。

「用具の点検、行ってきます」

 私は胸の高鳴りをごまかすように、慌ててドクターヘリのもとへと向かった。

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