恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 階段を上り、屋上の扉を開ける。ドクターヘリはすでに、そこに待機していた。

 白地に二本の赤いライン。そこに青い字で大きく『Doctor Heli』と書かれたヘリコプター。
 日の光を浴びて輝くこれが、私たちが命を救うための機体だ。

 よし、と自分に気合を入れて、ヘリコプターへと近づく。
 しかし、途中で足が止まってしまった。

 機体の向こうから、スクラブの上に白衣を着た影――お兄さんの姿が見えたのだ。

 彼はドクターヘリを熱心に見つめていたが、次の瞬間こちらを振り向く。するといつもの笑みを浮かべ、こちらに近づいてきた。

 私は動揺を悟られないよう、仕事だと言い聞かせてドクターヘリに近づく。
 しかしヘリの足場に手にしていた荷物を置いた時、後方からお兄さんが覗き込んでくる気配がした。

「どうして、こちらに?」

 つい振り返り、睨むようにお兄さんを見る。しかし、彼は笑みを崩さなかった。

「この間はヘリを見られなかったからね。一度見てみたかったんだよ」

 だったら私には関係ない。私は早々に視線を自分の手元に戻した。

 成人処置用バッグ。小児処置用バッグ。ひとつひとつのポケットの中まで点検し、必要な資材が揃っていることを確認する。

「よし」

 バッグのファスナーを閉め、体を起こした瞬間だった。
 突然、腕を引かれた。くるりと体が回転し、お兄さんと間近で目が合う。

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