恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 私はポケットからお守りを取り出し、彼に差し出した。黄色い、祖母の手づくりのお守りだ。

「これ、私を守ってくれるお守りなの。きっと君のお母さんも守ってくれる。貸してあげるね」

 すると彼は小さな手でそれを受け取り、握ってくれる。

「大丈夫。君のお母さんと一緒にいるお医者さん、すごいんだから」

 それでも、男の子は力なく頷く。
 だから、私は彼のお守りを持つのと反対の手をとり、優しく握った。

 大丈夫。私はこの子を、私と同じにはさせない。

 だが、男の子の握り返す力は弱々しい。
 あれ、と思って男の子の顔を覗き込む。男の子は目を閉じ、ぐったりとしていた。

 これは……っ!

「君、わかる! お名前言える!?」

 耳元で声をかけるも、反応はない。

「意識レベル低下! 急変です!」

 救急隊員に知らせる。彼はすぐに応じてくれた。

「ベイショアERに連絡します」

「お願いします」

 私は冷静に伝えたが、心臓はバクバクと鳴っていた。
 先ほどまで私にすがっていた命が、危険にさらされているのだ。
 とにかく、できることをしなければ。

「処置のため、移動します」

 私は立ち上がり、男の子の正面に向かったそこにしゃがむと、救急隊員がすぐに機材を用意し、バイタルサインをチェックしてくれる。

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