恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
《特定行為の指示を出す。今すぐ挿管を。こちらはタッチアンドゴーで、そちらに向かっている》

 それからドクターヘリはランデブーポイントを選定し、伝えてくれる。ここからすぐ近くの、運動公園だ。
 その声を聞きながら、私は救急隊員とともに処置を行っていく。

 大丈夫、龍臣さんも駆けつけてくれるんだから。
 そう思うと、焦っていた気持ちが落ち着くから不思議だ。

 私はこの命は私が繋ぐんだと何度も自分に言い聞かせながら、龍臣さんの指示のもと救急隊員とともに処置を続けた。

 それから二分ほどで、救急車はランデブーポイントへついた。
 そこではすでに上空をドクターヘリが旋回しており、さらに駆けつけた消防隊により運動公園内の人々の誘導が行われていた。

 救急車が止まると同時に、外からプロペラの音が聞こえる。何度も聞いた、ドクターへリの音だ。
 それからしばらくして、龍臣さんが救急車の扉を開く。

「龍臣さん!」

 思わず、彼の名を呼んでしまった。
 彼がいれば、もう大丈夫。そう、確信したのだ。

「詩音、よくやった」

 彼はそう言うと、私の頭に一度手を置く。
 それから男の子にできる限りの処置をして、ドクターヘリへと搬送する。

 あっという間の出来事。だけどこれでまたひとつ、命を繋げたのだ。

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