恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
気持ちを納得させるということは、とても難しい。
すべきことはこれだとわかっているにもかかわらず、私は『離婚』の二文字を龍臣さんに言い出せずにいた。
お兄さんに提示された期間は五日。残された時間は、あと二日だ。
早く言わなくてはという気持ちと、龍臣さんと離れたくない気持ちが、いまだにせめぎ合っている。
そんなどっちつかずな気持ちを抱えたまま、フライト当番の今日、私は静和大学附属病院のエントランス付近にあるコンビニへと向かっていた。
今日のお昼は、さくっと買って済ませてしまおうと思ったのだ。
こぼれそうになるため息をのみ込み、外来や受診料金の支払い待ちで人のあふれるエントランスと歩く。
すると遠くから、私を呼ぶ元気な声が聞こえた。
「フライトナースの、おねえさーん!」
顔を上げると、男の子がこちらに駆けてくるのが見えた。
あの子は、あの日私が助けた男の子だ。
「きょうね、おかあさん、たいいんするんだ!」
男の子は嬉しさを顔中にあふれさせながら言う。
すると、慌ててやって来た彼の父親が男の子の肩に手を置いた。
「その節は、大変お世話になりました」
彼は私に頭を下げる。
「いえいえ、それが私どもの仕事ですから」
私がそう言うと、男の子が私に手を差し出してきた。
「これ、おねえさんにかえすね」
その小さな手のひらには、あの日私が彼に手渡した、祖母の黄色いお守りがのっていた。
「おかあさんがたすかったの、このおまもりのおかげだよ! ありがとう」
すべきことはこれだとわかっているにもかかわらず、私は『離婚』の二文字を龍臣さんに言い出せずにいた。
お兄さんに提示された期間は五日。残された時間は、あと二日だ。
早く言わなくてはという気持ちと、龍臣さんと離れたくない気持ちが、いまだにせめぎ合っている。
そんなどっちつかずな気持ちを抱えたまま、フライト当番の今日、私は静和大学附属病院のエントランス付近にあるコンビニへと向かっていた。
今日のお昼は、さくっと買って済ませてしまおうと思ったのだ。
こぼれそうになるため息をのみ込み、外来や受診料金の支払い待ちで人のあふれるエントランスと歩く。
すると遠くから、私を呼ぶ元気な声が聞こえた。
「フライトナースの、おねえさーん!」
顔を上げると、男の子がこちらに駆けてくるのが見えた。
あの子は、あの日私が助けた男の子だ。
「きょうね、おかあさん、たいいんするんだ!」
男の子は嬉しさを顔中にあふれさせながら言う。
すると、慌ててやって来た彼の父親が男の子の肩に手を置いた。
「その節は、大変お世話になりました」
彼は私に頭を下げる。
「いえいえ、それが私どもの仕事ですから」
私がそう言うと、男の子が私に手を差し出してきた。
「これ、おねえさんにかえすね」
その小さな手のひらには、あの日私が彼に手渡した、祖母の黄色いお守りがのっていた。
「おかあさんがたすかったの、このおまもりのおかげだよ! ありがとう」