恋と結婚は別物です! 偽装結婚のはずなのに、強気なナースはフライトドクターの一途な愛に溶かされる
 男の子はえへへとはにかむ。
 彼は容態が急変する前に私が伝えたことを、ちゃんと覚えていてくれたのだ。

 確かに、彼の母親は後遺症もなくすっかり元気になった。だけど、その理由はお守りだけではないはずだ。
 私はお守りを受け取ると、男の子の前にしゃがみ込み、目線を合わせて笑みを浮かべた。

「君のお母さんが元気になったのは、君と、君のお父さんが、お母さんに元気になってほしいって強く思ったからじゃないかな」

「ぼくと、おとうさんが……?」

 彼はきょとんと、不思議そうな顔をする。

「そう。それに君のお母さんも、君とお父さんに会いたい、元気になって一緒に過ごしたいって、強く思ったはずだよ。君たち家族が頑張ったから、お母さんは退院できたんじゃないかな」

「ぼく、がんばったの……?」

 男の子の言葉にこくりと頷くと、彼はぱあっと花の咲いたような笑顔を見せた。

「ぼくも、おとうさんも、おかあさんも、がんばったんだ!」

 すると、母親が歩いてこちらへやって来た。
 男の子は母親の手を握り、とびきりの笑みを母親に向ける。

 そんな光景を見ていると、私も嬉しくなってしまう。ついにこにこしていると、母親が真剣な口調で私に言った。

「私たち家族が今こうやってここに立って、笑い合っていられる。それは、あなたを含め皆様が、私たちを懸命に救ってくれたからです。本当に、ありがとうございました」

 頭を下げられ、私は恐縮してしまう。

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